2021/12/3 - 2021/12/23

エドワード・ゴーリーの世界 新刊『鉄分強壮薬』刊行記念偏愛コレクション展

エドワード・ゴーリーの世界

2000年秋にゴーリーの代表作3作を一気に刊行、「子どもが死んでいく絵本なんて!(『ギャシュリークラムのちびっ子たち』)」と言われつつ、その美しい線画と奇妙で唯一無二な作品世界を日本の読者に届けたいと編集作業を続けてきました。幸い、稀代の翻訳者・柴田元幸さんの素晴らしい翻訳、そしてゴーリーの世界的なコレクターである濱中利信さんに助けられ、また慧眼な読者の皆様に支えられ、ほぼ毎年刊行を続けることが出来ました。インタビュー集、編書や図録も併せ、今年の新刊で32冊目となり刊行累計も60万部を超えています。

「大人のための絵本」と言われることも多いゴーリーの本ですが、大人のみならず中学生くらいからこの美しい線画とナンセンスの世界で遊ぶ楽しみを見つけてくれたら、と編集者としては願っています。ネットのまとめサイトなどでは「世界一残酷」「恐ろしい」などと評されており、ショッキングな作品ばかりと思われたら残念です。ゴーリーは多才で、デザイナーとしての活動もあり、多様な作品を数多く残している作家なのですから。事実、私が最初に心を奪われたのは、イソップ童話に付けた絵本の線画の美しさでした。

そんなゴーリー作品を紹介するにあたって、特に興味深いのは日米での作品の評価の違いです。『おぞましい二人』の刊行で「ゴーリーは多くの読者を失った」と本国アメリカでは言われており、日本語版刊行の際にも「なぜこれを出すのか、もっといい作品がある」と著作権管理者からは忠告されました。しかし、その『おぞましい二人』が日本では近年最も人気が高く、オリエンタルラジオの中田敦彦さんがYouTube大学で推薦しているし、2019年9月発売の雑誌<ダ・ヴィンチ>の表紙で星野源さんが本を持ち「「読み終わった時のこの何とも言えない感じは、言葉にできない。言葉にできない感情を与えてくれるのって、表現としては一番すごい」と評されています。結果、『おぞましい二人』は刷を重ねてロングセラーとなりました。

さて、ゴーリー編集担当者の私はコロナ禍真っ只中の2020年春、海外作家の代理人として独立することになり、長年勤めた会社から離れました。昨年はまさにゴーリー没後20年、日本での出版も20年という節目の年。やはりゴーリー作品は毎年刊行したいと『金箔のコウモリ』を、そして今年2021年は『鉄分強壮薬』――不思議な遠近法、そしてタイトルも物語も意味不明かつシュールな32ページの本――を刊行できました。

「みにさん・田中優子事務所」という私の会社の名前と同じ32番目の新刊となった新刊発売を記念して、ささやかですが私自身がコレクションしてきたゴーリーの写真やポスター、原書古本等を展示しつつ、ゴーリーハウスで販売されている人気のグッズ商品も販売します。ゴーリーを見出した編集者、アンドレアス・ブラウンさんがNYのマンハッタンで営んでいたThe Gotham BookMartも2階がギャラリーでゴーリーの絵を飾っていました。それでここ荻窪titleでも同じように2階を借りて、いつかゴーリー展をやりたいと思っていました。念願かなっての偏愛コレクション展です。どうぞ、ゴーリー沼にハマりにいらしてください。

編集者 田中優子(みにさん・田中優子事務所)

  • エドワード・ゴーリー Edward Gorey
  • エドワード・ゴーリー Edward Gorey

    1925年シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章とモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表。おもな邦訳に『うろんな客』『ギャシュリークラムのちびっ子たち』など。2000年没。

  • 田中優子(Yuko TANAKA, Minisan, Ltd., Office Yuko TANAKA)
  • 田中優子(Yuko TANAKA, Minisan, Ltd., Office Yuko TANAKA)

    編集者。渋谷生まれ、杉並育ち。河出書房新社で「文藝」編集部勤務後、翻訳出版書籍編集を中心に従事。版権業務も長く担当し、海外のブックフェアへ赴き輸入のみならず日本語の本の輸出も担当。2020年春、独立。ショーン・タンの日本における代理人としてマーチャンダイジング等、書籍のみならず多方面で活動中。最新の編集作品は『旅する小舟』(求龍堂)。㈱みにさん・田中優子事務所代表。

開催日
2021年12月3日(金)ー 2021年12月23日(木)
時間
12:00 - 19:30(日曜日は19時まで) 水曜・第三火曜日定休 *最終日12月23日(木)は17時まで
会場

Title2階ギャラリー

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